市民信託とは?


市民信託は、英語でいうと、シビル・トラストです。立木トラストや水田トラストなど、市民の大切に思うものをお金を出して支える方法です。おなじように、太陽光発電トラストが、いま、始まっています。

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地域の市民がつくる自然エネルギーにふさわしいのが「市民信託」です。

  1. 市民が主体 地域が主体
  2. 市民団体が参加者を自分で募る
  3. 安全で安心なかたちをめざす
  4. NPOのように、自分の利益でなく地域の利益に貢献できるように、必要な経費しか使わない

→「市民信託」住宅の屋根や民間の屋根を使って市民共同設置を行うのに、使いやすく、安心な制度です。

→信託法によって保証されています。

 

市民信託は、NECOが独自に開発した成果分配型の資金調達手法です。信託、つまりトラストを市民が行いやすいかたちにしようと、弁護士、公認会計士、税理士、及び金融庁、国税庁と協議をしながらつくりあげています。

信託とは、簡単に言うと、「目的」のために「信じて託す」ことです。

人間自身が集まると「組合」となります。「組合」を法人化すると、「協同組合」や「会社」となります。

目的を持ったお金だけが束になると、それは「信託」と呼びます。ちなみに、信託を法人化すると「財団法人」となります。たとえば、ノーベルの遺産は目的を持ったお金となり、ノーベル賞の財源となる「信託財産」となっています。これを法人化したのが「ノーベル財団」なのです。

・「市民信託」とは。。。

「信じて託す」市民や家族/親族、地域の仲間が信頼する人にお金や事業を信じて託す。
普通の市民にとっては日常的に普通に行われる行為です。

たとえば、親が子どもにお使いをお金を渡して託す。
たとえば、自治会費を支払って、まちの福祉や公共のものの修繕に使ってもらう。

このように、「信託」とは日常から自然に行われてきたものでした。

日本でも昔から「講」とか「結」とか「座」とか呼ばれて行われてきたものがそれです。
地域の協同の事業/価値のために、財産や労働力を少しずつ持ち合って、地域の公益を行ってきたのです。それは、橋や道の整備、社や市場の維持、水や燃料の分け与え、災害対応など、様々な事業に使われてきました。

「市民信託」とここでは名付けていますが、人間の社会にある金融制度の一番基本にあるものが、このような市民による信託であったのです。

 

・信託の歴史

歴史的には、信託は主にイギリスで発達した「トラスト(trust)」という制度を基礎にしています。

日本語で「信託」というとピンと来ない人も多いかと思いますが、トラストというとピンと来る人がいるのではないでしょうか。
森林トラストとか、水田トラストなど、ある目的のためにお金を運用者に託す「トラスト運動」が日本でも広がっています。

中世のイギリスでは、十字軍に参加した兵士たちが、出征中の土地などの財産の管理を地域に託したり、国王から土地を没収されたりするのを避けるために教会に寄進する際に用いられたそうです。

イギリスはご存知の通り、制定法ではなくて、判例を積み重ねる「習慣」と「判例」によって制度が作られていくことが多かった国です(成文憲法は今もありません)。

この判例の積み重ねによって、「信託」(trust)というものが作られていったのです。

さて、時は過ぎ、アメリカ合衆国はイギリスの植民地でしたので、この「信託」の制度が受け継がれました。

しかし、長い歴史を持つイギリスとは違い、アメリカを植民したヨーロッパ人たちは、出土も民族も違う人の集まりでもあり、イギリスの民事信託の基礎にあった「地縁」や「血縁」というコミュニティーに根ざした信頼がなかなか醸成されませんでした。

そこで、より事業的な性格の強い「信託会社」というものを作り、有償で法人を基本とする「営業信託」の信託業の制度が広まったのです。南北戦争以後の鉄道建設や遺産相続などでこの信託制度は幅広く活用されてきました。

 

・市民信託〜ヨーロッパのエネルギー協同組合との親和性

ヨーロッパ、特に北欧のドイツやデンマークでは、「エネルギー協同組合」が地域所有の中小規模の再エネ設備の広がりに大きな役割を果たしました。

実は日本と違い、「協同組合」という一つの制度があり、その中でエネルギー事業を主とする協同組合がいくつも生まれたのです。

日本の場合は、農業協同組合、生活消費者協同組合、信用組合など各協同組合で法律も違い、監督官庁も違い、様々な規制にがんじがらめになっていて、地域所有のエネルギー協同組合を作ることができません。

それに対して、北欧では、市民が申請書を提出するだけで、自由に協同組合が作れますし、事業内容を自由に「エネルギー」などと選べますし、さらに出資のみの出資組合員というのを自己募集することも出来ます。

これは長い間の市民活動によって勝ち取ってきた、ヨーロッパの市民たちの権利であるからです。

それだけではなく、各協同組合のそれぞれを自分たちで監査しあうことによって、監督官庁の介入を避けています。

ドイツなら例えばライファイゼン協会という全国連合会があり、そこに各協同組合が会員になることで、指導やアドバイス、監査を受けることができます。

各組合の健全な経営・運営に寄与しています。

われわれ一般社団法人NECOは、各地域で市民エネルギー事業を始めている人たちが集まって作られています。

市民信託は市民の活動として自らが指導監査できる能力を高めることによって、これ以上、押さえつけられることが無いように、自主独立・自己規律・自治の精神をもって行動していくことが肝要になります。これがわれわれが市民信託を始める上で、NECOを必要と考えた最大の理由です。

より詳しい内容は、どうぞお気軽にNECOにお尋ね下さい。
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